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1 実験の意図(2002/12/18)

この実験では,以下の疑問を明らかにしていきます.

  1. クリップ,カットオフはどのように観測されるか? その原因は?
  2. プッシュプルのロードラインは直線か?
  3. A級プッシュプル,差動出力段の最適な動作点は,A級のシングルの動作点と同じか?
  4. A級プッシュプルの出力は,シングルの2倍か?
  5. 差動出力段でもクリップは起こるのか?
  6. アンプが意図したように動作しているかどうかは,どのように確認すべきか?

ところで,「最適な動作点」という定義は,それぞれの人によって異なるでしょう. 今回は,最大出力が論点になっていることから, その定義を「一定のプレート損失内で,フルスイングした時に最も大きな出力が得られる動作点」とします. 「フルスイング」とは,「クリップまたはカットオフのいずれかが起こるまでスイングした状態」とします. ただし,「最適な動作点」において,歪みがあまりにも大きい場合は除きます.

今回実験する出力段の動作階級は,すべて(広義の) A級ですので, プレート損失一定ということは,無信号時のプレート入力が等しいという条件になります.

ただ,いきなりプレート電圧とプレート電流の組み合わせをいろいろと変えてしまうと, 実験の意義がわかりづらくなると思いますので, 各種出力段の振る舞いを調べる際には, まず善本さんの「悪い子の6CK4アンプ製作」の動作点にほぼ等しい, プレート電圧 250 V, (一本あたりの)プレート電流 41.67 mA の場合(プレート入力 10.4 W)から始め, それぞれの出力階級に応じて,上述の制約のもとで最適な動作点を探っていくことにします.

出力段の安定性を考えると自己バイアスを採用すべきですが, たとえA級であっても,出力管の非直線性に起因する,大出力時のプレート電流の増加によって動作点が移動する現象が起こります. この動作点の移動量とそのバイアス電圧への影響は, 平均プレート電流を計算すれば求められますが, 少々やっかいなため,固定バイアスを使うことにします.


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Ayumi Nakabayashi
平成19年7月7日