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では,特性曲線を詳しく調べ,どこで誤差が出ているか検討しましょう.
図6は,
Ep = 133.826 V の,Eg2-Ig2 特性を拡大したものです.
Oが無信号時の動作点です.
ei = 0.1 V を加えると,動作点はA'に移動するように思われます.
しかし,プレートに信号が発生し,プレート電圧が下がります.
プレートに発生した信号の大きさを(この段階ではわからないのですが) ep とします.
プレート電圧が下がると第2グリッドに流れる電流がわずかに増え,
特性曲線は緑色のようになります.
したがって,動作点はA'ではなく,Aに移動します.
それでは,この点Aを求めます.
ODが求めるべき第2グリッドの信号出力です.
BOは,増幅率の定義より,
これらより,
BD + DO |
= |
BO |
|
BD - eg2 |
= |
μg1-g2eg |
|
BD |
= |
μg1-g2eg + eg2 |
(19) |
内部抵抗の定義より,
rg2 |
= |
|
|
DC |
= |
= |
|
|
= |
gmg2eg + |
(20) |
CAは,第1グリッド電圧および第2グリッド電圧が一定の場合に,プレート電圧を変化させたときの Ig2 の変化率から求めます.
CA = ep
|
(21) |
ここでは,プレート電圧が下がったときにプレート電流が減る分の f 倍が第2グリッド電流の増加分になると仮定します.6267のこの動作点の場合,f = 0.6477 です.
このとき,
CA = - f
|
(22) |
となります.
三角形DAOより,
Rg2 |
= |
= |
|
eg2 |
= |
- Rg2(DC + CA) |
|
|
= |
- Rg2gmg2eg + - f |
|
|
= |
gmg2eg + - f |
|
+ |
= |
- gmg2eg + f |
|
eg2 |
= |
- gmg2eg + f(rg2//Rg2) |
(23) |
今度は,プレート側を見てみます.
図は7です.
OF |
= |
gmeg |
(24) |
FG |
= |
gm |
(25) |
OG |
= |
OF + FG = gmeg + |
(26) |
第2グリッドが 1 V 上昇すると,
第1グリッドが
1/μg1-g2 V 上昇したのと等価なことに注意してください.
これより,
ep |
= |
OI = - OG(rp//RL) |
|
|
= |
- gmeg + (rp//RL) |
(27) |
この式に式(23)を代入して,
ep |
= |
- gmeg + - gmg2eg + f(rp//RL) |
|
1 + (rg2//Rg2)(rp//RL)ep |
= |
- gmeg1 - (rg2//Rg2)(rp//RL) |
|
ep |
= |
- gmeg(rp//RL) |
|
|
= |
- gmeg(rp//RL) |
(28) |
Ag = gmg2(rg2//Rg2)/μg1-g2 とおくと,
ep |
= |
- gmeg(rp//RL) |
(29) |
Af |
= |
- gm(rp//RL) |
(30) |
となります.
Ag |
= |
x (133.3//1000) = 0.879467 |
|
Af |
= |
-1.286 x (3009//142.3) x = - 18.79 |
|
となり,シミュレーションの結果とほとんど一致します.
これまでの考察から得られる等価回路は,図8のようになります.
図 8:
五極管によるカソード接地増幅回路の等価回路(4)
|
一番左の電流源は,G1によるG2電流の変化を表し,
2番目の電流源は,プレート電圧の変化によるG2電流の変化を表し,
3番目の電流源は,G1およびG2によるプレート電流の変化を表しています.
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平成17年2月16日