SRPPは,アクティブロード(V2)を負荷とした, V1によるカソード接地増幅回路と見なすことができます. まずは,負荷 RL がない場合のV2の振る舞いを調べることにします.
ここからは,具体的な値を使って説明していくため, 真空管は 12AU7 を使い, Rk2 = 1.5 kΩ とします. 12AU7 のプレート特性を図3に示します. このプレート特性図では,グリッド電圧が 2 V ごとに特性が示されています.
仮に,グリッド電圧が Eg = - 2 V になったとします. すなわち,C-A間の電圧が 2 V です. Rk2 の両端に 2 V が生じるのは,C-A間に,
= 1.33 [mA] | (1) |
同様にして,グリッド電圧が -4 V のとき, -6 V のとき...と繰り返していくと, 次の表のような結果が得られます.
Eg (V) | Ip (mA) | Ep (V) | B-A間の電圧(V) | 点 |
0 | 0 | 0 | 0 | O |
-2 | 1.33 | 49.8 | 51.8 | P |
-4 | 2.67 | 101.8 | 105.8 | Q |
-6 | 4.00 | 150.3 | 156.3 | R |
-7 | 4.67 | 173.8 | 180.8 | |
-8 | 5.33 | 197.0 | 205.0 | S |
ロードライン(青い線)の抵抗値は, OR/RQ です. これを三定数を使って表すのが目標です.
まず,直線RQの長さについて調べます. 点Rの電流は,
Ip0 = | (2) |
IpQ = | (3) |
RQ = IpQ - Ip0 = = | (4) |
OPの長さは,2本の特性曲線のグリッド電圧が 1 V 異なっていることから μ2 です. 残っているのは直線PRですが,V2の内部抵抗 rp2 の定義より,
rp2 = | (5) |
PR = rp2 . RQ = | (6) |
これより,ロードラインの抵抗値 Ru は,
Ru | = | ||
= | |||
= | μ2Rk2 + rp2 | (7) |
真空管抵抗全体の抵抗値 Rl,すなわち緑色の線の傾きは,
OO'が 6 V,QQ'が 7 V なので,
O'R'の長さはORの長さより 1 V 長く,
ここで実際の値を入れて計算してみます. 動作点 Ep0 = 150.3 V, Ip0 = 4 mA における三定数は, μ = 16.53, rp = 10.81 kΩ, gm = 1.53 mS です. これらの値を式(8)に代入して, 真空管抵抗の値を求めると,
となります.点O'と点Q'から抵抗値を計算すると,
= 36.7 [kΩ] | (10) |
ちなみに,点O'の直流的な抵抗を求めてみると,
= 39.1 [kΩ] | (11) |