図4は,V1a, V1bのプレートの電圧です. 図5は,V1a, V1bのカソードの電圧です. 入力のほぼ半分の振幅の波形がカソードに現われます.
図6は,V2, V3のグリッドの電圧です. これは,V1a, V1bのプレートの電圧を 0 V が中心となるようにシフトした波形になっています. 図7は,V2, V3のカソードの電圧です. 出力段は平衡ドライブされているので, カソードに現われる信号の周波数は,入力信号の2倍になっています. また,カソード電圧は無信号時に最低となり, 入力が加わるとそれ以上に上昇します. この回路の場合,カソード電圧が最低でも約 21 V あるので, トランジスタによる定電流回路を使えば, 定電流回路の帰路はアースでよいことになります.
最大出力時には,カソード電圧が約 4 V 上昇します. 正味のグリッド電圧はその分差し引かれるので, グリッド電圧が 0 V になるまでフルスイングするのに必要な入力は 波高値で
一方のグリッドに +23 V, もう一方のグリッドに -23 V を加えた時に, 各部の電圧や電流がどう変化するかを表わしているのが図11です.
ここで,この図の数値とロードラインの関係を見てみましょう. 無信号時には,V3, V4とも図2の``O''点にあります. V3のグリッドに +23 V, V4のグリッドに -23 V を加えると, V3は``A''点に移動し,V4は``B''点に移動します. これらの点は緑色の線(差動出力段のロードライン)上に乗っていることがわかります.