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7119ミニウィリアムソン出力段

UMETECHさんの掲示板http://park2.wakwak.com/˜umetech/cgi-bin/joyful.cgiで,ミニウィリアムソンアンプの話題が上り, ARITOさんが 7119 を使ったアンプを検討されていました.

7119ウィリアムソン出力段

ARITOさんの当初の予定は,動作点を Ep0 = 230 V, Ip0 = 16 mA とするものでした. これでロードラインを描いてみると,クリップする前にカットオフしてしまうようです. そこで,動作点を Ep0 = 210 V, Ip0 = 18 mA としてみました. 7119 の最大プレート損失は,2ユニット使用の場合,1ユニットあたり Pd = 4 W ですので,この動作点で規格内に収まります. グリッドバイアスは Eg0 = - 7.533 V で, カソード抵抗は Rk = 209 Ω となります.

ロードラインは,図13のようになります.

図 13: 7119ウィリアムソン・アンプ出力段のロードライン
\includegraphics[]{will7119_ll.ps}

信号は,波高値で 8.675 V まで加えられます. KT66 よりも直線性が悪いので,ロードラインの湾曲が少し大きくなっています.

伝達特性は,図14のようになります. ご覧のように,ほぼ直線となっています.

図 14: 7119ウィリアムソン・アンプ出力段の伝達特性
\includegraphics[]{will7119_trans.ps}

プレート電流の波形は,図15のようになります.

図 15: 7119ウィリアムソン・アンプ出力段のプレート電流波形
\includegraphics[]{will7119_ip.ps}

出力は 2.597 W で,歪率は 0.588% です.

通常のプッシュプルにすると

Zpp = 14 kΩ のまま通常のプッシュプルにした場合のロードラインを図16に示します.

図 16: 7119プッシュプル出力段のロードライン
\includegraphics[]{pp7119_ll.ps}

ロードラインはかなり湾曲し, 入力が負のピークとなっても無駄な電流が流れているため, 出力がかなり低くなります. 通常のプッシュプルでは,ARITOさんの当初の動作点のように, プレート電圧を高めにし,プレート電流を絞った使い方のほうがよさそうです.

伝達特性は,図17のようになります. S字形に曲がっているのがわかります.

図 17: 7119プッシュプル出力段の伝達特性
\includegraphics[]{pp7119_trans.ps}

プレート電流の波形は,図18のようになります.

図 18: 7119プッシュプル出力段のプレート電流波形
\includegraphics[]{pp7119_ip.ps}

出力は 2.22 W で,歪率は 1.76% です.



Ayumi Nakabayashi
平成15年10月25日