デジタルマルチメーターZT109の特性

Ayumi's Lab.

2018年5月8日

PDFバージョンはこちら(298kbytes)からどうぞ. 私が初めてデジタルマルチメーターを購入したのは大学生の頃で, 一番安価だったSOARのものを東洋計測器で一万円程度で購入しました. 最近はSANWAのPC510をメインに使っていますが, 電池の電圧などのちょっとした測定には大げさで, つい最近までSOARも使っていましたが, 30年以上使ってきてとうとう表示が出なくなってしまいました.

図 1: ZT109とPC510
Image mmphoto

そこで小型のマルチメーターを探してみました. これまでは秋月電子通商扱いのものを候補に選んでいましたが, ネットで探すと中国製の安価なものが多く出回っているようです. その中から大きさと精度が手頃なZT109を購入してみました. 同じモデルがさまざまなブランドで出ているようです. 購入したものはURXTRALというブランドのものです.

数〜数十mAのレンジがなく,電流測定はやや弱いのですが, 電流を測定することはあまりないので, 実用的には問題ないと思います.

1 DC Vの精度

ZT109に付いてきた予備の単4電池の電圧を測定しました. PC510は1.664V,ZT109は1.665Vを示し,ほぼ同じ値であると言えます.

2 AC Vの周波数特性

Analog Discovery 2から振幅2Vと200mVを出力させ, PC510とZT109のオートレンジで電圧を測定しました.

図 2: AC Vの周波数特性
\includegraphics{figs/freq.ps}

PC510は仕様上20kHzまでの測定値を規定していますが, 50kHz程度までは実用になりそうです. ZT109は1kHzまでとなっていますが, かろうじて2kHzまでは使用できそうです.

3 AC Vの精度

オーディオアナライザーから400Hzの正弦波を出力させ, PC510とZT109のオートレンジで電圧を測定しました.

図 3: AC Vの精度
\includegraphics{figs/acv.ps}

2mVあたり以下から両方共指示値が大きくなりますが, 十分な精度があるように思えます. ノイズを拾っているのかもしれません.

4 抵抗測定の精度

1%の抵抗で構成したヘッドホンアンプ測定用のダミーロードを測定しました. テストリードの抵抗補正は行っていません.

図 4: 抵抗測定の精度
\includegraphics{figs/res.ps}

テストリードの抵抗約0.2$ \Omega$ が加算されるため, 低抵抗測定時に大きめの指示となりますが, 両者にほとんど差はありません.

5 静電容量測定の精度

同じくヘッドホンアンプ測定用のダミーロードを測定しました.
図 5: 静電容量測定の精度
\includegraphics{figs/cap.ps}

テストリード等で数十pFの静電容量があるため, 1nF以下で指示が大きくなりますが,それ以外では 両者にほとんど差はありません.

6 TRUE RMSの精度

Analog Discovery 2より各種波形を発生させ,指示値を測定しました. 正弦波を基準としたRMSの理論値との差をグラフにしました. 75%および90%は,それぞれデューティー比が75%, 90%の方形波です.
図 6: TRUE RMSの精度
\includegraphics{figs/rms.ps}

50Hz (茶,赤)では,デューティー90%以外は1%以下の誤差で測定できています. 特に,高調波の少ない三角波は正確に測定できています.

400Hz (オレンジ,黄)では,ZT109は周波数特性が劣るため, 三角波以外では数%の誤差が発生します.

以上より,商用周波数程度であれば, ZT109でも正確に実効値を測定できることがわかります.

当初,この測定はWaveGeneから波形を発生していましたが, オーディオインターフェースで直流がカットされているため, 方形波にサグが発生するのと,ギブス現象似より理論値と合わなかったため, 直流まで出力できるAnalog Discovery 2を使いました.

この文書について...

デジタルマルチメーターZT109の特性

この文書はLaTeX2HTML 翻訳プログラム Version 2008 (1.71)

Copyright © 1993, 1994, 1995, 1996, Nikos Drakos, Computer Based Learning Unit, University of Leeds,
Copyright © 1997, 1998, 1999, Ross Moore, Mathematics Department, Macquarie University, Sydney.

日本語化したもの( 2008 (1.71) JA patch-2.1beta1.13 版)

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を用いて生成されました。

コマンド行は以下の通りでした。:
latex2html -no_math -html_version 4.0,math -split 3 -local_icons -show_section_numbers -antialias zt109.tex.

翻訳は ayumi によって 2018-05-08 に実行されました。


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2018-05-08