電池の寿命を延ばすため,できるだけ消費電流を抑えました. FET差動アンプのテール電流は,2.6mAとしました. FETを選別しなくてもよいように, FETのソースにはバランス調整用の100Ωの半固定抵抗が入っています. 終段は,大パワーを出さない前提で, 2SC1815/2SA1015のコンプリメンタリ・エミッタフォロワとし, アイドル電流は3.7mAとしました.
ボリュームは,ALPSの9mmサイズ(RK097)の10kΩを使いました. 門田無線で買ったので,中点クリック付きです. 他の抵抗値やクリックなしが良ければ,あぼ電機にあります. ここには,Cカーブのボリュームなど,他店にないものがけっこうあります.
電池は,8.4V, 200mAHのニッケル水素充電池を使用しました. この電池の直流内部抵抗は4Ωで, 1kHzにおけるインピーダンスは約1.2Ωでした. この電池を20mA (0.1C)の定電流で放電したときの特性を, 図2に示します.
約7.5時間で電圧が7Vに下がりました. 1セルあたりの放電終止電圧を1Vとすれば, 容量は148mAHとなります.小型にするため,Olimexで両面基板を作成しましたが, これは,別の基板の空きスペースを使用したものです. 1日くらいでパターンを起こしたため,案の定,1箇所配線もれがありました.
ケースはタカチのMX2-8-13にしました.
無帰還時のゲインは,19.7dB (9.7倍)です.
負荷抵抗を変化させた場合の周波数特性を 図6に示します.
RL = 15 Ωの低域のカットオフ周波数は,4Hz程度です.
68Ωの負荷に1V出力時の波形を図7に示します.
歪率は,0.451%です.
出力インピーダンスの特性を図8に示します.
中域の出力インピーダンスは,2.45Ωです.
負荷開放時のゲインを9dB (2.83倍)に調整した時の特性です. 総消費電流は,約19mAでした.
負荷開放時の出力電圧対歪率特性を図9に示します.
負荷抵抗の違いによる出力電圧対歪率特性を図10に示します.
負荷抵抗が低くなると,低レベルの歪率が顕著に悪化します. どうもアイドル電流が少なすぎるようで, この回路の場合,アイドル電流が3.7mAですから, 実効値で2.6mAまでA級動作します. その時の出力電圧は,負荷(Ω) | 15 | 22 | 33 | 47 | 68 |
出力電圧(V) | 39.2m | 57.6m | 86.3m | 123m | 178m |
負荷抵抗の違いによる出力電力対歪率特性を図11に示します.
実用的な最大出力は,負荷抵抗にあまり左右されず,30mW程度となりました.負荷抵抗の違いによる周波数特性を図12に示します.
無帰還時のゲインは9.8倍(19.8dB)で,負帰還量は10.8dBです.出力インピーダンスの周波数特性を図13に示します.
中域における出力インピーダンスは,約3Ωです.1V出力時のクロストーク特性を図14に示します.
電源コンデンサの容量が少ないのと,デカップリング抵抗が小さいため, 低域で少し漏れているようです. 高域は問題ありません.残留雑音は,帯域幅600kHzで, 電池駆動時に両チャネルとも25.8V, スイッチング式のACアダプタ(12V, 1A小型)使用時で46.5Vでした.
68Ωを負荷にしたときの方形波応答を, 図15に示します.
オーバーシュートもなく,素直な波形です.