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シングル出力段の低域の等価回路は,図1のようになります.
KからPまでが真空管で,その他が出力トランスです.
図 1:
シングル出力段の低域の等価回路
|
Zp は出力トランスの公称一次インピーダンスで,
Lp は一次インダクタンスです.
この2つが並列になったものが真空管の負荷になるので,
これを
とおきます.
ZLp は一次インダクタンスのインピーダンスで,
ZLp = jLp (
j = ,
= 2f)です.
また,電圧源から見た総インピーダンスを
とおきます.
ip の方向が逆ですが,それはロードラインを描くときに通常の向きに戻します.
ここで,プレート電流 ip と出力トランス一次側の電圧 eo の関係を調べます.
等価回路から,
ei |
= |
ip(rp + Z2) = ipZ1 |
(3) |
eo |
= |
ei = ei |
(4) |
という関係が成り立ちます.
これらの式から ei を消去すると,
という関係が得られます.
ここで,
Z2 = ZLp//Zp に注目すると,
T2 = Lp/Zp とおくと,
Z2 |
= |
Zp |
(6) |
|
= |
Zp . |
|
|
= |
Zp |
|
|
= |
Zp |
(7) |
この式には,負荷インピーダンスの絶対値と,電流と電圧の位相の関係が含まれています.
まず,負荷インピーダンス Z2 の絶対値に注目します.
ここで,周波数が高くなる(
)と,
根号の中の分数の分母が無限大となり,
インピーダンスは Zp となります.
= 1/T2 = Zp/Lp のとき,根号の中の分数が1となり,
インピーダンスは
Zp/ (-3 dB)となります.
Zp = 5 kΩ,
Lp = 22 H の場合の,負荷インピーダンスの周波数特性を図2に示します.
次に,位相について検討します.
電圧 eo は,プレート電流 ip よりも,
= arg Z2 = tan-1 = tan-1
|
(9) |
だけ進んでいます.
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Ayumi Nakabayashi
平成15年9月7日