まず,小信号の場合を考えます. この場合,一定のグリッド入力を加えると ei が一定となります. プレート電流は,式(3)より,
ip = | (10) |
Z1 の値を求めます.
Z1 | = | rp + ZLp//Zp | |
= | rp + | ||
= | |||
= | |||
= | . | ||
= | rp |
プレート電流で考えると, 周波数が低い時は ipei/rp の電流が流れ, 周波数が 1/2T1 を超えるとプレート電流が 6 dB/oct で減り始め, 1/2T2 で下降は止まり, ipei/(rp + Zp) となります.
Z1 の絶対値は,
| Z1| | = | (rp + Zp) | |
= | (rp + Zp) | (13) |
| ip| | = | ||
= | . | (14) |
図3に総インピーダンス Z1 の周波数特性を, 図4にプレート電流の周波数特性を示します. 真空管の内部抵抗 rp は, 1 kΩ (赤), 5 kΩ (青), 20 kΩ (緑)の3通りを示しています. プレート電流は,ei = 1 V として計算しています.
OPT一次側の電圧 eo は,式(5)より,
| eo| | = | | Z2| . | ip| = Zp . . | |
= | . | ei| | (15) |
出力管の内部抵抗が低いほど T1 が大きくなり,周波数特性は低域まで伸びますが, 1/2T2 より低い周波数では,プレート電流が増えていることに注意してください.
さて,各周波数に対するプレート電圧の振幅とプレート電流の振幅と,その間の位相がわかったので,ロードラインを描くことができます.
プレート電流の位相を基準とすると,
ip | = | | ei|sin a | (16) |
eo | = | | ei| . sin a + | (17) |
図6に, rp = 1 kΩ の場合のロードラインを示します.
周波数が高い場合は,形状が斜めの直線に近くなります. これが通常のロードラインで,傾きは 1/Zp です. 周波数が低くなるとロードラインは楕円になり,しかも縦方向に伸びていきます.