各部の電圧は,回路図に記したとおりで, シミュレーションによる値とは,ほぼ5%以内の差となっている. なお,測定時の電灯線電圧は 102.2 V であり, シミュレーションは,その時のB電圧に合わせてある.
図16はイコライザーの周波数特性である. 赤い線はL ch.,青い線はR ch.である. 実線は 10 kΩ を負荷とした場合で,破線はオーディオアナライザー( Zin = 100 kΩ)のみを負荷とした場合である. 測定は, 1 kHz の出力が 0.1 V となるような入力( 1.89 mV)を全周波数に与えて行なった. 負荷が重いと,全体のゲインが下がり,さらに 50 Hz 以下の低域のゲインが下がるが,半導体機器を接続しても実用上問題はないと思われるレベルである. 1 kHz のゲインは 10 kΩ 負荷時52.4倍(34.4 dB), 100 kΩ 負荷時55.6倍(34.9 dB)であった.
RIAA偏差(図17)は, 100 kΩ 負荷時, 20 Hz から 20 kHz の範囲で 0.5 dB 以内に収まっている.
図18はイコライザーのクロストーク特性である. 赤い線は 左右,青い線は 右左 である. 測定は,出力が 5 V 一定となる入力を加えて行なった. 低域ではクロストークが十分に抑えられているが, 高域では悪化している. ストレー容量によるものと思われる. いずれにしても,可聴帯域では -70 dB 以下なのでまったく問題ない.
図19はイコライザーの入出力・歪率特性である. 定格出力時, 10 kΩ 負荷時で0.05%程度と予想され, 十分な値といえる. 100 kΩ 負荷時では,さらに1/10になると見込まれる. 100 kΩ 負荷時は,最大出力も伸びているので, 歪みはカソードフォロワー段によるものと推測される.
図20はイコライザーの出力インピーダンス特性である. カソードフォロワのおかげで,700 Ω から 800 Ω の範囲になっている. 低域の上昇は,出力のカップリングコンデンサによるものと思われる.
図21は, Tone defeat時のラインアンプの周波数特性である. 測定は,出力 1 V で行なった. 帯域幅は 6.3 Hz 140 kHz である. オレンジ色の線は,ボリュームを半分にした時の特性であるが, それほど高域が落ちていないことがわかる.
図22はイコライザーのクロストーク特性である. 赤い線は 左右,青い線は 右左 である. 測定は,出力が 5 V 一定となる入力を加えて行なった. 周波数と共にクロストークが直線的に増えている. トーンコントロール周りの配線に問題があるのだろうか.
図23は, ラインアンプの入出力・歪率特性である. 1 kHz のゲインは 10 kΩ 負荷時5.5倍(14.8 dB), 100 kΩ 負荷時5.88倍(15.4 dB)であった. R ch. はL ch. より 0.1 dB ほどゲインが高かった.
図24はラインアンプの出力インピーダンス特性である. Lux型トーンコントロールの強力なNFBのおかげで,870 Ω 程度になっている.
図25は, トーンコントロールの周波数特性である. 最大可変範囲は 13 dB で,ほぼ予定通りの可変範囲であった.
残留雑音はホワイトノイズのみで,ハムは認められなかった.
L ch. | R ch. | |
イコライザー 残留雑音(補正なし) | 0.20 mV | 0.28 mV |
イコライザー 残留雑音(A補正) | 0.032 mV | 0.035 mV |
ラインアンプ 残留雑音(補正なし) | 0.12 mV | 0.14 mV |
ラインアンプ 残留雑音(A補正) | 0.020 mV | 0.018 mV |