ポールが二つある回路に負帰還をかけた場合の特性は, p2 と p1 の比であるスタガ比 = p2/p1 と, 負帰還量 F によって定まります. 解析では,負帰還量ではなく還送比 T が用いられます. 負帰還量と還送比の関係は,
F = 1 + T T = F - 1 | (2) |
負帰還をかけた後の特性は,減衰係数 というただ一つのパラメータに支配されます. をさまざまに変化させたときの周波数特性とステップ応答を, それぞれ図4と図5に示します. ステップ応答は,方形波を入力してオシロスコープで波形を観測することに対応しています.
= 1/ のときが周波数特性がもっとも平坦で,バタワース特性と呼ばれます. このときステップ応答にはほんのわずかですがオーバーシュートが生じます. ステップ応答にオーバーシュートが生じないのは = 1 の場合ですが, 周波数特性を見ると,下降が始まる周波数が低くなってしまいます.
位相補償をする場合は,所定の量の負帰還をかけたばあいに希望する特性となるよう,
減衰係数を決め,それからスタガ比が導かれます.
減衰係数と還送比,スタガ比の関係は,表1のとおりです.