今回試作した回路を,図138に示します.
原回路では,ゲインを決める抵抗に4.7kΩと10kΩを使用していますが, 今回はChu Moyアンプと同様に1kΩと2.2kΩを使っています. 帰還回路のインピーダンスが低いほど,浮遊容量の影響を受けないからです. また,OPA2134で非反転増幅器を構成するときには, 帰還抵抗の並列合成抵抗を2kΩ以下にするよう推奨しています. 同相入力によってオペアンプ入力段のFETの接合容量が変化し, それが歪みとなるからです.
負荷を変えた場合の出力電圧対歪率特性を,図140, 141に示します.
出力に抵抗が入っていないChu Moyと比較すると, 負荷が重くなるにつれ,最大出力電圧が下がります. 同じ出力電圧における歪みは,大差ありません.負荷抵抗の違いによる周波数特性を図142に示します.
無負荷時のピークは,Chu Moyよりも大きくなっています. 負荷が重くなったときの高域の低下も,Chu Moyより大きくなっています.残留雑音は,以下のとおりです.
600kHz | 80kHz | 30kHz | A特性 |
22.1V | 8.2V | 5.2V | 3V |
68Ω負荷時の方形波応答を,図143に示します.
容量負荷時にわずかにオーバーシュートが生じますが, すなおな波形です. 0.022Fまでの容量負荷に対して発振しませんでした.
負荷抵抗の違いによる周波数特性を図146に示します.
ボルテージフォロワを使用しない場合と比べて, 高域が伸びていますが, 無負荷時のピークも大きくなっています.残留雑音は,以下のとおりです.
600kHz | 80kHz | 30kHz | A特性 |
22.9V | 8.5V | 5.3V | 3.3V |
68Ω負荷時の方形波応答を,図143に示します.
傾向は,ボルテージフォロワを使用しない場合と同様ですが, 高域が伸びている分だけ,オーバーシュートが鋭くなっています. 0.022Fまでの容量負荷に対して発振しませんでした.
負荷が68Ωの場合は, 最大出力電圧は,Chu MoyとA47のダブルでほとんど違いがありません. 1kHzでは,A47のダブルがわずかに歪率が低くなっています. それより低いレベルでの差は,残留雑音の違いによるため,本質的なものではありません. 90Hzでは,残留雑音のみで,歪みは計測できていません. 10kHzでは,A47のダブルの歪率が顕著に低く, Chu MoyとA47のシングルではほとんど違いがありません.
負荷が33Ωの場合は, 最大出力電圧は,わずかですがA47のダブルが高くなっています. 1kHzでは,A47のダブルの歪率がはっきりと低くなっているのがわかります. 90Hzでは,残留雑音のみで,歪みは計測できていません. 10kHzでは,A47のダブルの歪率が顕著に低く, Chu MoyとA47のシングルではまったくといってよいほど違いがありません.