パッシブのアッテネータとなるので, アッテネータのインピーダンスは, 雑音を拾いにくく,シールド線の線間容量の影響を受けにくい600としました. 形式は,抵抗の本数が少なくて済む橋絡T型としました.
それでもスイッチの回路数はステレオで4回路になります. 接点数が12を超えると4段のロータリースイッチが必要となってしまい, 5,000円以上してしまいます. 接点数が12であれば,2段4回路12接点のロータリースイッチがあり, 3,000円程度で購入できるので,これを用いることにしました.
アッテネータの構成は,10dBステップで60dBまで減衰できるもの, 1dBステップで10dBまで減衰できるもの, 左右のバランスを0.5dBステップで2dBまで調整できるもの, の3ステージ構成としました.
あとで調べてみると,KENWOODなどの測定用アッテネータでは, 0.1dBステップ,1dBステップには橋絡T型を使っていますが, 10dBステップにはT型の入出力を切り替えていますし, 30dBステップではT型を2段縦続接続しています. 橋絡T型で60dBの減衰を得ようとすると,0.6の抵抗が必要になってしまい, 精度が保証できなくなるためと考えられます.
抵抗は1%精度の金属皮膜抵抗を使い,計算値に近くなるよう,適宜直列,並列接続を行います. 100以下では,E24系列すべての値が店頭にあるわけではないので, 組み合わせに注意が必要です.
各ステージの抵抗値は以下のとおりです.
減衰量(dB) | R1 (理論値) | R1 (実際) | R2 (理論値) | R2 (実際) |
10 | 1.2974k | 1.3k | 277.49 | 7.5+270 |
20 | 5.4k | 2.7k+2.7k | 66.667 | 120//150 |
30 | 18.374k | 360+18k | 19.593 | 36//43 |
40 | 59.4k | 3.3k+56k | 6.0606 | 6.2//270 |
50 | 189.14k | 9.1k+180k | 1.9034 | 2.2//15 |
60 | 599.4k | 300k+300k | 0.6006 | 1//2.2//4.7 |
減衰量(dB) | R1 (理論値) | R1 (実際) | R2 (理論値) | R2 (実際) |
1 | 73.211 | 110//220 | 4.9173k | 620+4.3k |
2 | 155.36 | 160//5.6k | 2.3173k | 820+1.5k |
3 | 247.52 | 7.5+240 | 1.4544k | 2.2k//4.3k |
4 | 350.94 | 51+300 | 1.0258k | 27+1k |
5 | 466.97 | 510//5.6k | 770.93 | 91+680 |
6 | 597.16 | 820//2.2k | 602.86 | 43+560 |
7 | 743.23 | 62+680 | 484.37 | 560//3.6k |
8 | 907.13 | 1.3k//3k | 396.86 | 6.8+390 |
9 | 1.091k | 91+1k | 329.96 | 330 |
10 | 1.2974k | 1.3k | 277.49 | 7.5+270 |
減衰量(dB) | R1 (理論値) | R1 (実際) | R2 (理論値) | R2 (実際) |
0.5 | 35.552 | 36//3k | 10.126k | 130+10k |
1 | 73.211 | 110//220 | 4.9173k | 620+4.3k |
1.5 | 113.10 | 120//2k | 3.183k | 180+3k |
2 | 155.36 | 160//5.6k | 2.3173k | 820+1.5k |