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中域の利得を AM,
低域の時定数を TL1, TL2 とすると,
低域の利得 AL は次の式で表されます.
ここで,
x = 1/TL1,
n = TL2/TL1 とおくと,
AL |
= |
AM . |
(6.3) |
|
= |
AM |
(6.4) |
負帰還率 の負帰還をかけた場合,
低域の利得 A'Lは次の式のようになります.
A'L |
= |
|
(6.5) |
|
= |
|
(6.6) |
|
= |
|
(6.7) |
中域の負帰還量を
1 + AM = FM とおくと,
A'L =
|
(6.8) |
となって,周波数特性の形状は,中域の利得 AM とは関係のないことがわかります.
利得の大きさ(絶対値)は,
| A'L| = AM
|
(6.9) |
X = x2 とおくと,式(6.9)の分母の根号の中は,
次のようになります.
FM-+X1+ |
|
= |
X2 + 1 + - X + FM2 |
(6.11) |
|
= |
X2 + (n2 +2n + 1 - 2nFM)X + n2FM2 |
(6.12) |
|
= |
X - + n2FM2 - |
(6.13) |
|
= |
X - + FM - |
(6.14) |
したがって,分母が最小になる(すなわち | A'L| が最大になる)のは,
X = nFM - (n + 1)2/2 のとき(すなわち
x = xp のとき)で,
このときの角周波数を とすれば,
であり,
このときの利得 | A'Lp| は,
| A'Lp| = AM
|
(6.16) |
となります.
中域の利得
A'M = AM/FM に対するこのピークの大きさ P は,
となります.
この根号の中が1以上であれば,ピークを生じることはありません.
N = (n + 1)2/n とおけば,この条件は,
- |
|
1 |
(6.18) |
NFM - |
|
FM2 |
(6.19) |
FM2 - NFM + |
|
0 |
(6.20) |
FM - |
|
0 |
(6.21) |
FM |
= |
= |
(6.22) |
帰還量がこれより少ない場合は,式(6.15)の根号の中が負になり,
ピークを生じないことになります.
図6.2に,スタガ比を1とした場合に,
負帰還量を変えた場合の利得と位相の周波数特性を示します.
ここで,スタガ比が n のとき,
ピークを P まで許容した場合に,どれだけの負帰還を掛けられるかを考えます.
式(6.17)を FM について解くと,
FM2 - FM + |
= |
0 |
(6.23) |
FM = |
= |
(1) |
(6.24) |
符号が負の場合はピークが生じないので,解を与える符号は正です.
この関係をグラフで表すと,図6.3のようになります.
また,各種のスタガ比に対する帰還量とピークの位置の関係は,
図6.4, 6.5のようになります.
図 6.4:
帰還量とピークの位置(n1)
|
図 6.5:
帰還量とピークの位置(n1)
|
これらの図の使い方ですが,
たとえば,スタガ比を n = 1,
時定数を
TL1 = TL2 = 25 μF . k(ms),
負帰還量を F = 10 (
20 dB)とします.
このとき,図6.3より,ピークの大きさは
P = 4.44 dB となります.
また,図6.5より,ピークの位置は xp = 2.83 から,
fp = = = 2.25 [Hz]
|
(6.25) |
となります.
ここで,スタガ比を n = 10 として,
TL2 = 250 μF . kΩ とすると,
ピークの大きさは
P = 0.74 dB となり,
ピークの位置は,xp = 6.28 より
fp = 1.01 [Hz] となります.
ここで,スタガ比を n = 0.1 として,
TL2 = 2.5 μF . kΩ とすると,
ピークの大きさは同じく
P = 0.74 dB ですが,
ピークの位置は,xp = 0.628 より
fp = 10.1 [Hz] となります.
この3通りの場合の利得の周波数特性は,図6.6のようになります.
図 6.6:
各種スタガ比と周波数特性(F = 10)
|
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Ayumi Nakabayashi
平成19年6月28日