eg は信号入力電圧で, Eg は eg が加わった場合でも つねにグリッド電圧が負になるようにするための バイアス電圧(グリッドバイアス)です, グリッド電圧が負であれば,グリッドに電流は流れませんが, グリッド電圧が正になるとグリッド電流が流れだし, 入力インピーダンスが下がるため, 電圧増幅段ではグリッド電圧が常に負になるようにして使います.
さて,図1.8の回路で, プレート電流が Ip 流れたとき, プレート電圧 Ep は,電源電圧 Ebb から 負荷抵抗 RL の電圧降下 IpRL を引いた電圧になります. すなわち,
Ep = Ebb - IpRL | (1.11) |
入力信号がない場合,グリッド電圧は Eg であり, そのグリッド電圧のプレート特性曲線とロードラインとの交点により プレート電圧とプレート電流が決まります. 図1.9ではA点です. この点を動作点といいます.
入力電圧が加わり,グリッド電圧が Eg + eg になった場合, プレート特性曲線とロードラインとの交点はBになります. このとき,eg > 0 なら,プレート電流は Ip だけ増加し, プレート電圧は Ep = ep だけ下がります. この増幅回路の増幅度 A は,
A = | (1.12) |
ここで,増幅度と三定数の関係を調べます. 増幅率 μ より,
三角形BCDに注目すると,内部抵抗 rp より,さて,式(1.17)は,電圧 - μeg を,rp と RL で 分圧していると見ることができます. 負荷抵抗 RL の両端に生じる出力電圧は, 開放電圧が - μeg で内部抵抗が rp の電圧源に RL をつないだ場合とまったく同じになります. これより図1.8の回路の信号成分の等価回路は 図1.10のように表せます.
式(1.17)に, μ = gmrp を代入すると,
となり,rp と RL が並列になった回路に電流 - gmeg を 流したときに生じる電圧が ep になります. これは,内部抵抗が rp の電流源と等価です. これより図1.8の回路の信号成分の等価回路は 図1.11のようにも表せます.