UL接続とカソード帰還は,同時に解析することができます.
図3.10の回路を考えます.
プレート-カソード間の巻数を1としたときの,
SGタップの割合を
,
カソード帰還巻線の割合を
とします.
図 3.10:
UL接続とカソード帰還を同時に使用した回路
|
ゲインを求める等価回路は,図3.11のようになります.
等価回路より,次の関係が成り立ちます.
eg |
= |
ei + eo |
(3.22) |
eg2 |
= |
( + )eo |
(3.23) |
eo |
= |
- gm(UL)(eg + )(rp//RL) |
(3.24) |
これより,
eo |
= |
- gm(UL)ei + eo + (rp//RL) |
|
1 + gm(UL) + (rp//RL)eo |
= |
- gm(UL)ei(rp//RL) |
|
eo |
= |
- |
(3.25) |
Af |
= |
- |
(3.26) |
帰還のない時のゲイン A
は,
A = gm(UL)(rp//RL)
|
(3.27) |
ですから,帰還後のゲインは,
Af = -
|
(3.28) |
と表すことができ,帰還量 F
は,
となります.
図 3.11:
UL接続とカソード帰還のゲインを求める等価回路
|
内部抵抗を求めるには,等価回路を書いて,
グリッドをアースに落とし,
プレート-カソード間に電圧 e
を加え,
流れ込んだ電流 i
の大きさを求め,rp' = e/i
で求めます.
等価回路は,図3.12のようになります.
図 3.12:
UL接続とカソード帰還の内部抵抗を求める等価回路
|
プレート-カソード間に電圧 e
を加えると,
SGタップには
e
の電圧が,
カソード帰還巻線には
e
の電圧が発生します.
カソードを基準にすると,
コントロールグリッドには,カソード帰還巻線の電圧がかかり,
スクリーングリッドには, カソード帰還巻線とSGタップの電圧を加えたものがかかります.
スクリーングリッドに生じた電圧 eg2
は,コントロールグリッドに換算すれば
1/μg1-g2
倍となります.
これらより,次の関係が成り立つことがわかります.
eg |
= |
e |
(3.30) |
eg2 |
= |
( + )e |
(3.31) |
i |
= |
+ gm(UL)(eg + ) |
(3.32) |
したがって,UL接続とカソード帰還をかけた場合の等価内部抵抗 rp'
は,
となり,式(3.10)や式(3.18)と同じであることがわかります.
この式は,
= gm(UL)rp = (1 + Ig20/Ip0)
とおけば,
rp' |
= |
|
|
|
= |
|
(3.34) |
と変形でき,内部抵抗の減少率 F'
は,
となります.帰還量 F
の式では A
であったところが
になっていることに注意してください.
この F'
は,負荷を掛けない状態における(真の)帰還量でもあります.
ayumi
2016-03-07