実際のトランスには,巻線抵抗,一次インダクタンス(励磁インダクタンス), 漏洩インダクタンス,鉄損などがあり, 周波数特性やインピーダンス特性に影響してきます. これらの影響を考慮したトランスの等価回路として, 図1.3が一般に使われます1.1.
ここで,r1 | : | 一次巻線抵抗 | |
r2 | : | 二次巻線抵抗 | |
Cs1 | : | 一次巻線浮遊容量 | |
Cs2 | : | 二次巻線浮遊容量 | |
Ll1 | : | 一次巻線漏洩インダクタンス | |
Ll2 | : | 二次巻線漏洩インダクタンス | |
LP | : | 一次インダクタンス | |
Ri | : | 鉄損 |
二次側のインピーダンスは,一次側からみると n2 倍になるので, 二次巻線抵抗,二次漏洩インダクタンス,二次巻線浮遊容量をすべて一次側に換算すると, 図1.4の等価回路が得られます.
また,負荷インピーダンス ZL の両端に生じる電圧が変化しますが, ZL を一次側から見た値 Z'L = n2ZL に換算すれば, 理想トランスを取り除くことができ,図1.5の等価回路が得られます.
したがって,中域の等価回路は,図1.6の左のようになります. ここで,r'2 は Ri と比べると十分に小さいので, 右のように r1 と r'2 をまとめたほうが,解析が容易になり, また影響もほとんどありません.
一次に与えられた電力のうち,巻線抵抗 r と鉄損 Ri によって消費される分だけ 損失が発生します. これがトランスの定損失といわれるものです.
等価回路より,
トランスの一次側の電圧 e1
と
一次側に換算した負荷にかかる電圧 e2m
の関係は,
e1 | = | e | (1.7) |
e2m | = | e | (1.8) |
Am | = | = = | |
= | = | ||
= | = . | ||
= | . | (1.9) |
Am = = | (1.10) |
電力効率 は,入力電力 pi に対する出力電力 po の比で, この等価回路では,Ri を無視すれば流れる電流は同一ですから,
= = | (1.11) |
伝送損失は,r がないと仮定したときの出力電圧 e2m' に対する 出力電圧で定義され,
伝送損失 = = = | (1.12) |
伝送損失 = | (1.13) |
等価回路より,
e1 | = | e | (1.14) |
eLl | = | e | (1.15) |
となりますが,中域と同様の式変形を行なうことにより,
Al | = | . = Am | |
= | Am = Am | ||
= | Am | (1.16) |
等価回路より,
e1 | = | e | (1.17) |
e2h | = | e | (1.18) |
Ah | = | = | |
= | = | ||
= | |||
= | = | (1.19) | |
= | . | ||
= | Am | (1.20) |
= | |||
= | (1.21) | ||
Q | = | ||
= | |||
(1.22) |
ayumi