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最終的な回路は,図31のようにしました.
出力トランスの1次インダクタンスが思いの外大きかったので,
低域のスタガー比を確保するため,初段のスクリーングリッドバイパスコンデンサを増やし,カップリングコンデンサを減らしました.
また,出力段の電流が多いようでしたので,バイアス抵抗を 330 Ω に増やしました.
図 31:
QUAD IIタイプミニアンプの回路(最終版)
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図 32:
QUAD IIタイプミニアンプの回路(電源部)
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電源トランスには,東映変成器の40W絶縁トランス1を,
ヒータートランスには同じく東映変成器の3Aのものを使いました.
ケースは,タカチのUS-260LHを使用して,
真空管を横向きにマウントし,内部に納めることにしました.
図 33:
ミニアンプの外観
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予定通り,0.5 V の入力で 5 W の出力が得られました.
図 36:
ミニアンプの周波数特性(上:左,下:右)
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位相補償が足りないため,高域に少々ピークが生じています.
図 37:
方形波応答(右,100Hz)
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図 38:
方形波応答(右,1kHz)
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図 39:
方形波応答(右,10kHz)
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図 40:
方形波応答(右,10kHz,負荷開放)
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図 41:
クリップ波形
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左チャネル |
右チャネル |
補正なし |
1.5mV |
0.18mV |
A補正 |
0.23mV |
0.028mV |
左チャネルの雑音が大きいですが,
真空管を差し替えた結果,左チャネルに使用したSylvaniaの6AU6のハムのようです.
右チャネルはGE製です.
Lチャネルの残留雑音が高いため,RLの特性が悪くなっています.
LRは,
20 kHz で -75 dB と,かなりよい特性と言えます.
低域のほうも,10 Hz で -75 dB 確保できています.
平衡アンプですので,電源がプアでもこの程度の特性は楽に得られるようです.
左チャネルは残留雑音の影響で正しく測定できませんでしたので,
真空管を左右入れ替えて測定しています.
出力インピーダンスは 1 Ω 弱,
ダンピングファクターは10弱となっています.
残りの出力トランスをARITOさんから送っていただいたため,
右チャネルのG-2をG-18に交換しました.
また,位相補償の容量を 22 pF にしました.
さらに,使用するスピーカーにあわせて,
パッシブ式のバスブースト回路を組み込みました.
初段の6AU6は,すべてGE製のものに変更しました.
バスブーストの回路を,図45に示します.
図 45:
バスブーストの回路図
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これはインピーダンスを下げた最終回路のもので,
入力インピーダンスは約23.7kΩ,挿入損失は-9.8dBです.
前述のとおり,バスブースト回路により約1/3の損失があるため,
その分感度が低くなっています.
左右のノイズレベルの差が少なくなったため,歪率特性もほぼ揃いました.
図 48:
ミニアンプの周波数特性(上:左,下:右)
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図48のように,高域のピークはなくなりました.
バスブーストの周波数特性を,
図49に示します.
上昇量はほぼ正確に2dBステップとなっています.
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左チャネル |
右チャネル |
補正なし |
0.303mV |
0.355mV |
A補正 |
0.0327mV |
0.033mV |
最初,バスブースト回路を適当に配線したら,
図50の青い線のように大幅に特性が悪化しました.
フロントパネル側に右チャネルがあり,
6AQ5のプレートからの輻射を拾っているようです.
また,ボリュームの奥側を左チャネルにしているため,
右チャネルの配線等からの信号を拾いやすくなっているようです.
バスブースト回路のインピーダンスを半分にし,
さらにボリュームの手前側と奥側の配線を入れ替え,
バスブーストからボリュームの配線にリボンケーブルを使って
左右の信号線の間にグラウンドを挟んだところ,
緑色のように特性が改善しました.
バスブーストがない場合より,最悪で10dB程度の悪化に収まっています.
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Ayumi Nakabayashi
平成25年5月19日