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実線は試作回路,点線はSPICEによるシミュレーションの結果です.
赤はV1のゲイン,青はV2のゲインです.
R8 は,
2.816 kΩ で出力のバランスが取れました.
ゲインは,165倍(44.3 dB)です.
図 22:
古典的位相反転+カソード結合の周波数特性
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試作回路のほうが,
シミュレーションより高域特性がかなり劣っています.
浮遊容量がだいぶ大きいようです.
スクリーン結合を行うと,低域の周波数特性がより平坦になると同時に,
V1とV2の差が小さくなります.
図 23:
古典的位相反転+カソード結合+スクリーングリッド結合の周波数特性
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R8 を0とします.
ゲインは,V1側が100.3倍(40.0 dB),V2側が60.5倍(35.6 dB)です.
スクリーン結合を行うと,V1, V2のバランスが改善されます.
また,低域の周波数特性がより平坦になります.
図 25:
カソード結合+スクリーングリッド結合の周波数特性
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V2の出力をオペアンプでバッファリングして,
2 kΩ の抵抗で負帰還を掛けます.
R8 が
2.235 kΩ で出力のバランスが取れました.
ゲインは,26.8倍(28.6 dB)です.
負帰還量は,15.7 dB 相当になります.
シミュレーションでは低域にピークができていますが,
これは,スクリーングリッドのバイパスコンデンサによる時定数と,
カップリングの時定数のスタガ比が足りないためで,
実際には,出力トランスによる出力段の時定数が低域の第1ポールになるので,
このようなピークは生じないはずです.
スクリーン結合を行うと,スクリーングリッドの時定数が大きくなるため,
低域のピークが小さくなっています.
また,高域の差も小さくなっています.
図 27:
負帰還を掛けた場合(1)+スクリーングリッド結合の周波数特性
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V2の出力をオペアンプでバッファリングして,
1 kΩ の抵抗で負帰還を掛けます.
R8 が
1.716 kΩ で出力のバランスが取れました.
ゲインは,15.0倍(23.5 dB)です.
負帰還量は,20.8 dB 相当になります.
低域のピークがさらに大きくなっています.
低域のピークが小さくなっています.
また,高域の差も小さくなっています.
試作回路では,V1とV2の出力に少し差が出ています.
図 29:
負帰還を掛けた場合(2)+スクリーングリッド結合の周波数特性
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サプレッサグリッド(G3)は,通常カソードと同じ電位にして使います.
6AU6の場合は,内部シールドとG3がつながっています.
もともと高周波向けの球なので,
カソードのインピーダンスが低い回路で使われることが想定されているのでしょう.
QUAD IIでは,カソードに帰還信号が掛かっているので,
これが内部シールドとつながっていると,
外部からノイズを拾うアンテナになってしまうことが考えられます.
シールドを有効にするため,G3を直接グラウンドに落としたほうが良さそうです.
G3はカソードから離れており,またピッチも粗いため,
動作に影響はないと思いますが,念のため,特性を取ってみました.
実線がG3をグラウンドに落とした場合,
破線がG3をカソードにつないだ場合です.
負帰還を掛けると,特性への影響がわかりにくくなるので,
古典的位相反転で特性を取りました.
図 30:
G3をグラウンドに落とした場合の周波数特性
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特性の違いは殆どありませんでした.
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Ayumi Nakabayashi
平成25年5月19日