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2 ミニアンプの設計

19に,6AU6と6AQ5を用いた QUAD IIタイプのミニアンプの回路例を示します.
図 19: QUAD IIタイプミニアンプ
\begin{figure}\input{quadm_sch}
\end{figure}

2.1 出力段

静止時の動作点は, Ep = 241.6 V, Eg = - 14.2 V, Eg2 = 209.5 V, Ip = 21.6 mA, Ig2 = 2.15 mA ですが, 最大出力近辺では, プレート電流,スクリーングリッド電流が増え, バイアスが深くなり, Ep = 240 V, Eg = - 15 V, Eg2 = 195 V 程度となります. 負荷は,プレート-プレート間が 13 kΩ, カソード帰還巻線が 32 Ω なので, 14.32 kΩ となります.

20に,最大出力近辺の動作点の合成プレート特性(赤)と, 合成ロードライン(青),各球のロードライン(緑)を示します. 点Oは静止時の動作点です.

図 20: ミニアンプ出力段のロードライン
\includegraphics{figs/quadm_ll.ps}

この動作点では,ロードラインがニーポイントの下を通っているため, フルスイングすると波形の上下が潰れてしまいます. ここでは, プレート電圧の最低値が 50 V となる, 入力が約 11.9 Vp の波形を図21に示します. プレート出力は,

Po = (240 - 50)2 x 2/14320 = 5.0 [W] (26)
となりますが,トランスの損失により 4.5 W 程度になるでしょう.
図 21: ミニアンプ最大出力近辺の波形
\includegraphics{figs/quadm_wf.ps}

このとき,片側のグリッドには 11.9 Vp が加わっており, カソード帰還巻線の片側には,

$\displaystyle {\frac{{\sqrt{2}\,\sqrt{5.0 \times 32}}}{{2}}}$ = 8.9 [Vp] (27)
が生じますから, グリッド-アース間では, 11.9 + 8.9 = 20.8 Vp の電圧が必要です.


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Ayumi Nakabayashi
平成25年5月19日