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3 測定

出力インピーダンス600$ \Omega$のオーディオアナライザーから1Vを出力し, アッテネータの出力を600$ \Omega$でターミネートして 出力電圧をマルチメータで測定しました.

3.0.0.1 ステージ1

3.0.0.1.1 規定負荷
減衰量(dB) Vo.L (V) Vo.R (V) 減衰量.L (dB) 減衰量.R (dB) 誤差.L (dB) 誤差.R (dB)
0 1.006 1.005 0.000 0.000 0.000 0.000
10 318.5m 318.1m 9.990 9.992 -0.010 -0.008
20 100.7m 100.6m 19.991 19.991 -0.009 -0.009
30 31.83m 31.82m 29.995 29.989 -0.005 -0.011
40 10.09m 10.06m 39.974 39.991 -0.026 -0.009
50 3.22m 3.22m 49.895 49.886 -0.105 -0.114
60 1.03m 1.03m 59.795 59.787 -0.205 -0.213
3.0.0.1.2 負荷オープン
減衰量(dB) Vo.L (V) Vo.R (V) 減衰量.L (dB) 減衰量.R (dB) 誤差.L (dB) 誤差.R (dB)
0 2.018 2.016 0.000 0.000 0.000 0.000
10 638m 637m 10.002 10.007 0.002 0.007
20 201.9m 201.5m 19.996 20.004 -0.004 0.004
30 63.8m 63.8m 30.002 29.993 0.002 -0.007
40 20.2m 20.15m 39.991 40.004 -0.009 0.004
50 6.41m 6.41m 49.961 49.953 -0.039 -0.047
60 2.04m 2.04m 59.906 59.897 -0.094 -0.103
50dBで減衰量が設計値より小さくなっているのは, 2本の抵抗で合成しているためで,抵抗を3本(5.1//5.1//7.5)使えば精度はよりよくなります. 60dBではリード線の抵抗の影響を受けているという可能性もありますが, マルチメーターの精度による可能性もあります. それ以外では,誤差の最大値は0.03dB以下であり,十分な精度があると言えます.

3.0.0.2 ステージ2

3.0.0.2.1 規定負荷
減衰量(dB) Vo.L (V) Vo.R (V) 減衰量.L (dB) 減衰量.R (dB) 誤差.L (dB) 誤差.R (dB)
0 1.006 1.005 0.000 0.000 0.000 0.000
1 898m 897m 0.986 0.987 -0.014 -0.013
2 800m 799m 1.990 1.992 -0.010 -0.008
3 714m 713m 2.978 2.982 -0.022 -0.018
4 636m 636m 3.983 3.974 -0.017 -0.026
5 568m 567m 4.965 4.972 -0.035 -0.028
6 505.4m 504.5m 5.979 5.986 -0.021 -0.014
7 450.7m 450.2m 6.974 6.975 -0.026 -0.025
8 401.5m 401m 7.978 7.980 -0.022 -0.020
9 357.8m 357.5m 8.979 8.978 -0.021 -0.022
10 318.8m 318.1m 9.982 9.992 -0.018 -0.008
3.0.0.2.2 負荷オープン
減衰量(dB) Vo.L (V) Vo.R (V) 減衰量.L (dB) 減衰量.R (dB) 誤差.L (dB) 誤差.R (dB)
0 2.018 2.016 0.000 0.000 0.000 0.000
1 1.798 1.796 1.003 1.004 0.003 0.004
2 1.602 1.6 2.005 2.007 0.005 0.007
3 1.427 1.425 3.010 3.014 0.010 0.014
4 1.27 1.269 4.022 4.021 0.022 0.021
5 1.134 1.132 5.006 5.013 0.006 0.013
6 1.01 1.008 6.012 6.021 0.012 0.021
7 901m 900m 7.004 7.005 0.004 0.005
8 802m 801m 8.015 8.017 0.015 0.017
9 716m 715m 9.000 9.004 0.000 0.004
10 638m 636m 10.002 10.021 0.002 0.021
誤差の最大値は0.04dB以下であり,十分な精度があると言えます.

3.0.0.3 ステージ3

3.0.0.3.1 規定負荷
減衰量(dB) Vo.L (V) Vo.R (V) 減衰量.L (dB) 減衰量.R (dB) 誤差.L (dB) 誤差.R (dB)
0.0 1.006 1.005 0.000 0.000 0.000 0.000
0.5 951m 949m 0.488 0.498 -0.012 -0.002
1.0 897m 896m 0.996 0.997 -0.004 -0.003
1.5 847m 845m 1.494 1.506 -0.006 0.006
2.0 800m 798m 1.990 2.003 -0.010 0.003
3.0.0.3.2 負荷オープン
減衰量(dB) Vo.L (V) Vo.R (V) 減衰量.L (dB) 減衰量.R (dB) 誤差.L (dB) 誤差.R (dB)
0.0 2.018 2.016 0.000 0.000 0.000 0.000
0.5 1.905 1.903 0.501 0.501 0.001 0.001
1.0 1.798 1.796 1.003 1.004 0.003 0.004
1.5 1.696 1.695 1.510 1.506 0.010 0.006
2.0 1.601 1.6 2.011 2.007 0.011 0.007
誤差の最大値は0.01dB強であり,非常によい精度が得られています.

図 8: 製作したアッテネータの誤差.
\includegraphics{figs/err.ps}

以上より,E24系列の抵抗を2本合成して使用することで, 橋絡T型で40dBまでのアッテネータを高精度で実現できることがわかりました.

アンプに組み込んで音量調節に使用する場合は, ステージ2を1dBステップで20dBまで減衰できるようにすれば, とても使いやすいものになると思います. 普段の音量調節はステージ2で行い, ミューティングなどの大きな変化はステージ1で行います.

アッテネータの接続順は, 減衰量の少ない順,すなわちステージ3, 2, 1の順にしたほうが, S/Nが多少良くなると思います. 今の接続でも,出力側から入力すれば電気的には同じになりますが, 部品の配置の影響が多少あるかもしれません.

オーディオ用であれば,600$ \Omega$にこだわる必要はなく, 10k$ \Omega$程度のほうがソースの負荷が軽くなるし, 低抵抗も不要になるので作りやすいと思います.