カソード側は,カソードフォロワと同等な動作をするので, ゲインは1以下となります. また最大出力は,カソードフォロワのそれを カソード側とプレート側の2つに分けるため,1/2になります. したがって,入力電圧が大きな出力管をドライブする用途には あまり向いていません. 比較的新しい(gm の高い)多極管をドライブするのに向いています.
ek | = | - iZk | (3.1) |
ep | = | iZp | (3.2) |
- μeg | = | i(rp + Zk + Zp) | (3.3) |
ei | = | eg + ek | (3.4) |
eg | = | ei - ek = ei + iZk | |
- μ(ei + iZk) | = | i(rp + Zk + Zp) | |
- μei | = | {rp + (1 + μ)Zk + Zp}i | |
i | = | ||
ep | = | - μei | (3.5) |
ek | = | μei | (3.6) |
Ap | = | - μ | (3.7) |
Ak | = | μ | (3.8) |
i1 | = | (3.10) | |
i2(rp + Zk) | = | μeg + eo = - μek + eo = - μi2Zk + eo | |
{rp + (1 + μ)Zk}i2 | = | eo | |
i2 | = | ||
Zop | = | = | |
= | Zp//{rp + (1 + μ)Zk} | (3.11) |
i1(rp + Zp) | = | eo - μeg = (1 + μ)eo | (3.12) |
i2 | = | (3.13) | |
i1 | = | eo | |
Zok | = | = | (3.14) |
| A| | = | 16.12127 = 0.8617758 | |
Zop | = | 22//{12.88682 + (1 + 16.12127)22} = 20.82397 [kΩ] | |
Zok | = | = 1.864904 [kΩ] |
1 P-K phase inverter with 12AU7 2 .INCLUDE 12AU7.lib 3 X1 1 2 3 12AU7 4 RP 1 4 22k 5 RK 3 0 22k 6 *CP 1 0 0.01u 7 *CK 3 0 0.01u 8 *CP 1 0 220p 9 *CK 3 0 200p 10 VBB 4 0 250V 11 RG 2 0 470k 12 VI 2 0 DC 51.88741V AC 1V 13 .control 14 op 15 print v(1,3) v(2,3) i(vbb) 16 tf v(1) vi 17 print all 18 tf v(3) vi 19 print all 20 *ac dec 10 1 1meg 21 *plot db(v(1)) db(v(3)) ylimit -5 0 22 .endc 23 .END
1 2 Circuit: P-K phase inverter with 12AU7 3 4 v(1,3) = 1.342252e+02 5 v(2,3) = -6.00000e+00 6 i(vbb) = -2.63125e-03 7 transfer_function = -8.61776e-01 8 output_impedance_at_v(1) = 2.082397e+04 9 vi#input_impedance = 4.700000e+05 10 transfer_function = 8.617758e-01 11 output_impedance_at_v(3) = 1.864904e+03 12 vi#input_impedance = 4.700000e+05
P-K分割回路の負荷は,次段のグリッド抵抗と電極間容量・浮遊容量であり, ほぼ等しい値で一定になっているはずです. こうした時に出力インピーダンスを調べる目的は, 電極間容量・浮遊容量が高域特性へどのような影響を与えるかを検討するためです.
ここで,負荷抵抗と次段のグリッド抵抗の並列抵抗値を R,
電極間容量・浮遊容量を C とすると,
負荷インピーダンスは Z = R//C より
Z = 1/(1/R + jC) = R/(1 + jCR) となるので,
P-K分割回路のゲインは,式(3.9)より,
| A| | = | μ = μ | |
= | μ = μ | ||
= | μ | ||
= | . | (3.15) |
Z'o = | (3.16) |
しかし,少しでもアンバランスがある場合, カソード側とプレート側でその影響は大きく異なり, 周波数特性が大きく変わってしまいます.
たとえば,カソード側の容量が大きくなると, カソード側はバイパスされ出力が減り, プレート側は電流帰還が少なくなるためゲインが上がります. 逆に,プレート側の容量が大きくなると, プレート側はバイパスされ出力が減りますが, カソード側には十分な電流帰還がかかったままですから, ゲインはあまり変わらないはずです.
図3.6に, カソードおよびプレートに 100 pF または 0.01 μF を 付加した場合の周波数特性を示します. 赤い線がプレート側のゲイン, 青い線がカソード側のゲインを表わしています. 実線は,カソード,プレートとも 100 pF を付加した場合, 破線は,カソードに 100 pF, プレートに 0.01 μF を付加した場合, 点線は,カソードに 0.01 μF, プレートに 100 pF を付加した場合, 一点鎖線は,カソード,プレートとも 0.01 μF を付加した場合です.
実際の回路ではこれほどの差がつくことはないにしろ, 浮遊容量をピッタリ同じにできるものではありません. 例えば,プレート側に 220 pF, カソード側に 200 pF を付加した場合の 周波数特性は図3.7のようになり, 100 kHz 近辺で約 1 dB の差が付いています. カットオフ周波数も 920 kHz と 1.2 MHz のように差がでます.
青い色の直線(A-O-B)が Rk + Rp のロードラインで, 動作点はこのロードラインに対して定めます. 緑色(A''-O''-B'')およびオレンジ色(A'-O'-B')の直線は, それぞれカソード,プレートの対アース電圧を表わします. これらの直線の傾き(の逆数)は,Rk や Rp そのものです.
伝達特性のグラフは,Rの関数 trans.vol を使用して作成できます.
> Eg <- seq(0, 100, len=21) > Eg [1] 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 [20] 95 100 > z <- trans.vol(t12AU7, ei=0, Ebb=250, Eg=Eg, Rp=22e3, Rk=22e3) > matplot(Eg, cbind(z$Eo, z$Ek), type="l", lty=1)図3.9のようなグラフが描かれます.