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5 実験

測定に使用した機器は,以下のとおりです.

オーディオアナライザ 目黒電波測器 MAK-6581
シグナルジェネレータ 自作(MAX038使用)
  WaveGene $ \to$ CD-R
オシロスコープ 岩通 SS-7804
マルチメータ SANWA PC510 (真の実効値)
USBサウンドデバイス ONKYO SE-U55
FFTソフト WaveSpectra
以下のオシロの写真で,唯一電圧増幅段の波形を観測するのに使用した ジェネレータは,ICL8038を使用したものです(現在はMAX038を用いたものに改造されました). 波形が明らかに歪んでいるので,歪率の測定には使用できません.

歪率の測定には,当初WaveGenの出力を記録したCDの信号をアンプに入れ, WaveSpectraで測定していました. 使用したCDプレーヤの出力は規格よりもだいぶ低く Vpp で, アンプにNFBを掛けた場合にフルスイングできないので, オペアンプ(NJM2114D, LF414, NJM5532DD)を使ったゲインが約7倍のプリアンプを内蔵させました. CD $ \to$ サウンドデバイス直結の歪率は,0.02%でした. 各種出力段の歪率は,この方法によって測定したものです.

その後,オーディオアナライザMAK-6581を手に入れ, 出力対歪率等を測定しました. この場合の出力は,2次側で測定したものです.

出力段のロードライン(Ep-Ip)は,図45(左)のようにして,オシロのXYモードで観測します. 出力段の伝達特性(Eg-Ip)は,図45(右)のようにして,オシロのXYモードで観測します.

図 45: ロードラインの観測回路(左)と伝達特性の観測回路(右)
\begin{figure}\input{schematic_lltc}
\end{figure}

出力段の2管の総プレート電流と, 信号出力となる合成プレート電流(プレート電流の差)を観測するために, 図46の回路のアダプタを作成しました. アダプタは図47のようにユニバーサル基板上に組みました. このアダプタの電源は,アンプに対してフローティングでなければなりません. オペアンプの品種はなんでもよいですが,初段はFET入力のほうがよいでしょう. 2つともTL072あたりでよいと思います.

図 46: 総プレート電流と合成プレート電流の観測アダプタの回路
\begin{figure}\input{IP_adapter_sche}
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IP_adapter.jpg

図 47: 総プレート電流と合成プレート電流の観測アダプタ
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5.1 電圧増幅・位相反転段(2002/12/30)

まず,6CK4を差さずに5751のみを使用して電圧増幅段の動作を確認します. 供給電圧は 240 V としました. 対アースのプレート電圧は,上側が 101.1 V,下側が 98.7 V で, カソード電圧は 1.056 V でした.

6CK4のグリッド抵抗を負荷とした状態で, ゲインは上側が25.9倍,下側が25.8倍で,よく揃っています.

48は,5751への入力とカソード電圧です. 左側は正弦波を入力した場合,右側は三角波を入力した場合です. 図49は,5751の(対アース)プレート電圧です. 図50は, 80 Vpp 出力時の5751への入力電圧と出力電圧です. 80 Vpp 程度は直線性よく出力でき,設計時の目標をクリアしています.

5751EinEk.jpg

図 48: 5751への入力とカソード電圧
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5751Ep.jpg

図 49: 5751のプレート電圧
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図 50: 5751への入力電圧と出力電圧
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5.2 A級シングル出力段(2003/1/10)

負荷インピーダンス 歪率 出力電圧(rms) 出力電力
2.5 kΩ 11.81% 94.0V 3.50W
3.2 kΩ 9.94% 99.9V 3.11W
4.6 kΩ 7.50% 106.9V 2.49W
3.2 kΩ NFB 2.66% 103.1V 3.32W

5.2.0.1 Zp = 3.2 kΩ の場合

51は,6CK4のグリッド電圧とOPT 2次出力電圧です. 左側は正弦波を入力した場合,右側は三角波を入力した場合です. オシロのグラウンドを6CK4のカソードにつないでいるので, OPT 2次電圧には最大約 0.1 V のプレート電流の波形が乗っかっていますが,ご容赦ください. 図52は,6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 左側は正弦波を入力した場合,右側は三角波を入力した場合です. 図53は,左側がロードライン(x軸が Ep,y軸が Ip)で 右側が伝達特性(x軸が Eg,y軸が Ip)です. このときのみ,周波数は kHz を使いました. ロードラインが楕円となっていますが,OPTの1次インダクタンスが並列に入っているため,負荷が誘導性になっているからです. プレート電圧は 103 V から 380 V まで変化し, プレート電流は 97 mA から 13 mA まで変化しています. プレート電流が設計時にロードラインを引いて求めた値より増えていますが,この理由は後述します. 図54は,入力を大きくして,クリップが発生した時の波形です. 左側がグリッド電圧とOPT 2次出力電圧,右側がプレート電圧とプレート電流です. グリッド電圧が正になると,入力インピーダンスが急激に下がり, 前段が十分な電圧を供給できなくなります. したがって,グリッド入力の時点でクリップが発生しています. 出力段は正常に増幅を行っており,グリッドのクリップが出力に現われていることがわかります.

6CK4se3k2EgkEo.jpg

図 51: A級シングルのグリッド電圧とOPT 2次出力電圧(3.2k)
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図 52: A級シングルのプレート電圧とプレート電流(3.2k)
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図 53: A級シングルのロードラインと伝達特性(3.2k)
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図 54: A級シングルのクリップ時の波形(3.2k)
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プレート電流が,ロードラインから求めたものよりも増えている現象について検討します. 図4は,無信号の状態からいきなりフルスイングした場合を表わしています. この時,プレート電圧の波形の上側は詰まり,下側は伸びるので, プレート電圧の平均値は,動作点の Ep0 = 250 V よりも低くなっています(図55の点X). しかし,信号が加わった状態が続くと,トランス(インダクタンス)の作用により, 平均プレート電圧は Ebb = 250 V になろうとします. したがって,入力信号の位相が0の動作点は, 図55の点Oから点O'に移動します. この時の平均プレート電圧,平均プレート電流の点はX'です. 平均プレート電圧が Ep0 = 250 V より低いのは, 平均プレート電流が上昇した分( 54.1 - 41.7 = 12.4 mA), トランスの巻線抵抗( 141.8 Ω)によって電圧が下がった分(1.8 V)を 考慮しているからです. オシロで波形を観測する時は,連続的に信号を与えているので, この状態が観測されます.

図 55: 6CK4シングルの動作点の移動
\includegraphics{figs/6CK4sell2.ps}

この現象は,当然SPICEでシミュレーションできます(というかSPICEのシミュレーション結果を見て気づいたのでした). シミュレーションの結果を図56に示します. 赤い線が kHz 信号入力時プレート電圧の波形で, 青い線がプレート電圧の1周期ごとの平均電圧で, 緑色の線が図57の等価回路の電圧のようすです. この現象は,出力に偶数次の歪みが含まれている場合に観測されるもので, 負帰還を掛けて歪みを少なくすれば,プレート電流の増加は少なくなるはずです. この実験は,後ほど行います.

図 56: 6CK4シングルのプレート電圧の変化
\includegraphics{figs/6CK4seop.ps}
図 57: 動作点移動の等価回路
\begin{figure}\input{seopeq}
\end{figure}

また,図53から読み取った実際の6CK4のプレート特性(の一部)をプロットしておきました. 実際の6CK4 (No. 1)では,μ が規格より低くなっており, さらに Eg = 0 V のカーブが寝ているようです. これにより,最大出力が理論値よりも下回っているようです. それらの点を除けば,シミュレーションによるロードラインの上にほぼ乗っていることがわかります.

5.2.0.2 Zp = 2.5 kΩ の場合

58は,6CK4のグリッド電圧とOPT 2次出力電圧です. 図59は,6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図60は,左側がロードラインで右側が伝達特性です. プレート電圧は 112 V から 372 V まで変化し, プレート電流は 115 mA から 15 mA まで変化しています. 図61は,入力を大きくして,クリップが発生した時の波形です.

6CK4se2k5EgkEo.jpg

図 58: A級シングルのグリッド電圧とOPT 2次出力電圧(2.5k)
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図 59: A級シングルのプレート電圧とプレート電流(2.5k)
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図 60: A級シングルのロードラインと伝達特性(2.5k)
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図 61: A級シングルのクリップ時の波形(2.5k)
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5.2.0.3 Zp = 4.6 kΩ の場合

62は,6CK4のグリッド電圧とOPT 2次出力電圧です. 図63は,6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図64は,左側がロードラインで右側が伝達特性です. プレート電圧は 92 V から 400 V まで変化し, プレート電流は 86 mA から 21 mA まで変化しています. 図65は,入力を大きくして,クリップが発生した時の波形です.

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図 62: A級シングルのグリッド電圧とOPT 2次出力電圧(4.6k)
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図 63: A級シングルのプレート電圧とプレート電流(4.6k)
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図 64: A級シングルのロードラインと伝達特性(4.6k)
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図 65: A級シングルのクリップ時の波形(4.6k)
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5.2.0.4 Zp = 3.2 kΩ でNFBを掛けた場合

出力トランスの2次側から 470 Ω と 330 Ω によって約 12 dB の 負帰還を掛けてみました. 当初,R2 は 100 Ω にしていたのですが, 深めの負帰還を掛けるためには RNFB をかなり小さくしなければならないため,R2 の値を変更しました.

実験を開始すると,小出力でもかなりへんな波形が観測されました. 各部の波形を観測していると, V1 のカソードが -0.6 V でクリップしていました. 負帰還を掛けたことにより,入力が大きくなり, その分カソードに現れる信号の振幅が大きくなって,負まで振り込まれるようになり, 保護用のダイオード D1 がONになっていました. まあ,B電源が立ち上がる前は,グリッド-カソード間の電圧が約 9 V になりますが,このときグリッドから 1 mA 程度の電流が流れても大したことないだろうというわけで, このダイオードを外してしまいました. ダイオードを外したあとは,正しい波形が現れました.

6CK4seNB3k2EgkEo.jpg

図 66: A級シングルのグリッド電圧とOPT 2次出力電圧(3.2k NFB 保護ダイオードあり)
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67は,6CK4のグリッド電圧とOPT 2次出力電圧です. 負帰還により,6CK4のグリッドの波形は,負側が伸びるように歪みます( Eg < -60 V までスイングされている)が, 出力の波形は歪まなくなります. 図68は,6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図69は,左側がロードラインで右側が伝達特性です. プレート電圧は 101 V から 400 V まで変化し, プレート電流は 104 mA から 9 mA まで変化しています. NFBを掛ける前より,平均電流が減っていることがわかります. さらに,Ip min が減っており,プレート電流の利用率が高くなっています. 図70は,入力を大きくして,クリップが発生した時の波形です. 歪率も理論どおり約1/4の2.66%になりました.

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図 67: A級シングルのグリッド電圧とOPT 2次出力電圧(3.2k NFB)
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図 68: A級シングルのプレート電圧とプレート電流(3.2k NFB)
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図 69: A級シングルのロードラインと伝達特性(3.2k NFB)
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図 70: A級シングルのクリップ時の波形(3.2k NFB)
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5.3 A級プッシュプル出力段(2003/1/13, 2003/5/31)

出力と歪率は,以下の表のようになりました. 図10に,出力と歪率をプロットしておきましたが, 出力,歪率とも設計値を下回っています. 入力の大きさをクリップ寸前にしたつもりでしたが, 少し低く( 0.5 V $ \sim$V)なってしまったようです. ドライバと出力段では3次歪みの位相が逆なので,打ち消されている可能性もあります.
負荷インピーダンス 歪率 出力電圧(rms) 出力電力
kΩ 2.13% 186.2V 6.97W
6.4 kΩ 1.91% 195.6V 6.02W
9.4 kΩ 1.47% 218.1V 5.06W
kΩ AB級 2.65% 185.9V 6.95W
6.4 kΩ NFB 0.474% 203.1V 6.49W

5.3.0.1 Zpp = 5 kΩ の場合

71は,6CK4のグリッド電圧とOPT 2次出力電圧です. シングルの場合と比べて,明らかに歪みが減っており, 正弦波の波形からは歪みを読み取ることが難しいほどです. 三角波の方を見ると,波形が伸びる3次歪みが加わっていることがわかります. 図72は,上側(V2)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. プレート電圧は,ほぼ正弦波になっていますが,プレート電流がかなり歪んだ波形となっています. 特に,プレート電流が最小になるあたりで,減ってきたプレート電流が逆に増えていることがわかります. 図73は,下側(V3)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図74は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V2). プレート電圧は 120 V から 390 V まで変化し, プレート電流は 130 mA から 20 mA まで変化しています. 図75は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V3). プレート電圧は 120 V から 390 V まで変化し, プレート電流は 128 mA から 22 mA まで変化しています. V3 のほうが V2 よりも多くの電流が流れているようです. ロードラインを見ると,右下のほうで水平になり, さらにほんのわずかですが右上がりになっています. このあたりでは,負荷インピーダンスはマイナスになっており, もう一方の球の負荷インピーダンスは Zpp/4 以下になっています. ARITOさんに球をお借りした時にはこの実験の動機を詳しくお伝えしなかったのですが, 実は,6CK4のモデルからロードラインが反り返ることが予想され, これを実際に確認したいというのが,この実験に取り組む最も大きな動機なのでした. この現象は極端に直線性の悪い球でしか起こらないため, 6CK4のような球がどうしても必要なのでした. 図76は,入力を大きくして,クリップが発生した時の下側の球の波形です. プッシュプルの場合,上下の球のバイアスが等しければ,ほぼ同時にクリップが起こります. そのようすが波形によく現われています.

6CK4pp5kEgkEo.jpg

図 71: A級プッシュプルのグリッド電圧とOPT 2次出力電圧(5k)
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図 72: A級プッシュプルのプレート電圧とプレート電流(5k 上側)
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6CK4pp5kEpIpL.jpg

図 73: A級プッシュプルのプレート電圧とプレート電流(5k 下側)
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6CK4pp5klltcU.jpg

図 74: A級プッシュプルのロードラインと伝達特性(5k 上側)
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6CK4pp5klltcL.jpg

図 75: A級プッシュプルのロードラインと伝達特性(5k 下側)
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図 76: A級プッシュプルのクリップ時の波形(5k 下側)
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5.3.0.2 Zpp = 6.4 kΩ の場合

77は,6CK4のグリッド電圧とOPT 2次出力電圧です. 図78は,上側(V2)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 負荷を高くしたほうが,プレート電流の歪んだ波形の特徴が良く出るようです. 図79は,下側(V3)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図80は,2管の総プレート電流と合成プレート電流( Ip1 - Ip2)です. 総プレート電流は,信号の2倍の周波数の波形となります. 2本の球の最大プレート電流が異なるため, 総プレート電流の波形の山の高さが異なっています. 図81は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V2). プレート電圧は 115 V から 400 V まで変化し, プレート電流は 108 mA から 20 mA まで変化しています. 図82は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V3). プレート電圧は 112 V から 400 V まで変化し, プレート電流は 116 mA から 24 mA まで変化しています. 図83は,入力を大きくして,クリップが発生した時の下側の球の波形です.

6CK4pp6k4EgkEo.jpg

図 77: A級プッシュプルのグリッド電圧とOPT 2次出力電圧(6.4k)
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図 78: A級プッシュプルのプレート電圧とプレート電流(6.4k 上側)
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図 79: A級プッシュプルのプレート電圧とプレート電流(6.4k 下側)
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図 80: A級プッシュプルの総プレート電流と合成プレート電流(6.4k)
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図 81: A級プッシュプルのロードラインと伝達特性(6.4k 上側)
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図 82: A級プッシュプルのロードラインと伝達特性(6.4k 下側)
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図 83: A級プッシュプルのクリップ時の波形(6.4k 下側)
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81から読みとったプレート電圧とプレート電流を, プレート特性図の上にプロットしたのが図84です. 水色で示した各球のロードラインの上にきっちりと乗っていることがわかります.

図 84: モデルのロードラインと実際のロードライン
\includegraphics{figs/6CK4ppll.ps}

5.3.0.3 Zpp = 9.4 kΩ の場合

85は,6CK4のグリッド電圧とOPT 2次出力電圧です. 図86は,上側(V2)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図87は,下側(V3)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図88は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V2). プレート電圧は 102 V から 413 V まで変化し, プレート電流は 93 mA から 28 mA まで変化しています. 図89は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V3). プレート電圧は 100 V から 410 V まで変化し, プレート電流は 96 mA から 29 mA まで変化しています. 図90は,入力を大きくして,クリップが発生した時の下側の球の波形です.

6CK4pp9k4EgkEo.jpg

図 85: A級プッシュプルのグリッド電圧とOPT 2次出力電圧(9.4k)
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図 86: A級プッシュプルのプレート電圧とプレート電流(9.4k 上側)
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図 87: A級プッシュプルのプレート電圧とプレート電流(9.4k 下側)
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図 88: A級プッシュプルのロードラインと伝達特性(9.4k 上側)
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図 89: A級プッシュプルのロードラインと伝達特性(9.4k 下側)
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図 90: A級プッシュプルのクリップ時の波形(9.4k 下側)
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5.3.0.4 Zpp = 5 kΩ AB1級の場合

もっともカットオフしやすそうな Zpp = 5 kΩ の場合について, グリッドバイアスを深く( Eg0 = - 29 V)して, AB1級(に近い状態)で動作させました. 出力がそれほど変わらないことが期待されます.

91は,6CK4のグリッド電圧とOPT 2次出力電圧です. 図92は,上側(V2)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 無駄なプレート電流が減っていることがわかりますが, この程度のバイアスの深さでは,カットオフには至りません. 図93は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V2). プレート電圧は 123 V から 390 V まで変化し, プレート電流は 122 mA から 12 mA まで変化しています.

6CK4pp5kABEgkEo.jpg

図 91: A級プッシュプルのグリッド電圧とOPT 2次出力電圧(5k AB級)
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図 92: A級プッシュプルのプレート電圧とプレート電流(5k AB級 上側)
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図 93: A級プッシュプルのロードラインと伝達特性(5k AB級 上側)
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5.3.0.5 Zpp = 6.4 kΩ でNFBを掛けた場合

約 12 dB の負帰還を掛けました. 図94は,6CK4のグリッド電圧とOPT 2次出力電圧です. 図95は,上側(V2)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図96は,下側(V3)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図97は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V2). プレート電圧は 110 V から 397 V まで変化し, プレート電流は 116 mA から 24 mA まで変化しています. 図98は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V3). プレート電圧は 108 V から 397 V まで変化し, プレート電流は 114 mA から 26 mA まで変化しています. 図99は,入力を大きくして,クリップが発生した時の下側の球の波形です.

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図 94: A級プッシュプルのグリッド電圧とOPT 2次出力電圧(6.4k NFB)
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図 95: A級プッシュプルのプレート電圧とプレート電流(6.4k NFB 上側)
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6CK4ppN6k4EpIpL.jpg

図 96: A級プッシュプルのプレート電圧とプレート電流(6.4k NFB 下側)
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6CK4ppN6k4lltcU.jpg

図 97: A級プッシュプルのロードラインと伝達特性(6.4k NFB 上側)
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6CK4ppN6k4lltcL.jpg

図 98: A級プッシュプルのロードラインと伝達特性(6.4k NFB 下側)
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図 99: A級プッシュプルのクリップ時の波形(6.4k NFB 下側)
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入出力特性を図100に,出力対歪率特性を図101に示します. 歪率のグラフには,クリップ近辺で歪率の上昇が一息つく現象が見られます.

図 100: A級プッシュプル出力段入出力特性
\includegraphics{figs/6CK4ppio.ps}
図 101: A級プッシュプル出力段出力対歪率特性
\includegraphics{figs/6CK4ppdist.ps}

5.4 差動出力段(2003/1/16, 2003/5/31)

対アースのプレート電圧は 278.1 V と 278.0 V, カソード電圧は 28.2 V, プレート電流は 42.25 mA 40.51 mA でした. 出力と歪率は,以下の表のようになりました.
負荷インピーダンス 歪率 出力電圧(rms) 出力電力
kΩ 4.77% 117.7V 2.79W
6.4 kΩ 4.86% 181.0V 5.15W
9.4 kΩ 2.80% 234.6V 5.86W
10.7 kΩ 1.95% 240.8V 5.44W
9.4 kΩ NFB 0.912% 231.2V 5.69W

5.4.0.1 Zpp = 6.4 kΩ の場合

102は,上側(V2)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. グリッド電圧の波形はかなり歪んでいます. グリッド電圧は,最大 -5 V までしか加えられません. 一方,負側は -64 V まで振られています. カソード電圧の波形は,入力の2倍の周波数で, カソード電圧の上昇は,約 9 V と 7 V で, 2本の真空管のカットオフ近辺の特性が一致していないことが伺われます. 図103は,下側(V3)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. 図104は,上側(V2)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図105は,下側(V3)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図106は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V2). ロードラインがA級プッシュプルとは逆の方向に曲がっているのがわかります. この伝達特性は,横軸が対アースの入力電圧ではなく,グリッド電圧なので, 図15とは異なり,曲がっています. プレート電圧は 115 V から 365 V まで変化し, プレート電流は 80 mA から 3 mA まで変化しています. 図107は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V3). プレート電圧は 113 V から 365 V まで変化し, プレート電流は 81 mA から 5 mA まで変化しています.

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図 102: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(6.4k 上側)
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図 103: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(6.4k 下側)
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図 104: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(6.4k 上側)
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図 105: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(6.4k 下側)
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図 106: 差動出力段のロードラインと伝達特性(6.4k 上側)
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図 107: 差動出力段のロードラインと伝達特性(6.4k 下側)
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5.4.0.2 Zpp = 5 kΩ の場合

108は,上側(V2)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. グリッド電圧は,最大 -8 V までしか加えられません. 負側は -58 V まで振られています. カソード電圧の上昇は,約 7.5 V と 6 V です. 図109は,下側(V3)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. 図110は,上側(V2)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図111は,下側(V3)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図112は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V2). プレート電圧は 154 V から 340 V まで変化し, プレート電流は 98 mA から 5 mA まで変化しています. 図113は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V3). プレート電圧は 153 V から 340 V まで変化し, プレート電流は 99 mA から 6 mA まで変化しています.

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図 108: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(5k 上側)
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図 109: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(5k 下側)
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図 110: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(5k 上側)
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図 111: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(5k 下側)
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図 112: 差動出力段のロードラインと伝達特性(5k 上側)
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図 113: 差動出力段のロードラインと伝達特性(5k 下側)
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5.4.0.3 Zpp = 9.4 kΩ の場合

114は,上側(V2)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. グリッド電圧は,最大 -0.7 V まで加えられるようになりました. 負側は -66 V まで振られています. カソード電圧の上昇は,約 7.5 V と 6.5 V です. 図115は,下側(V3)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. 図116は,上側(V2)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図117は,下側(V3)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図118は,2管の総プレート電流と合成プレート電流( Ip1 - Ip2)です. 当然のことですが,総プレート電流は一定です. 図119は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V2). プレート電圧は 85 V から 410 V まで変化し, プレート電流は 74 mA から 8 mA まで変化しています. 図120は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V3). プレート電圧は 83 V から 408 V まで変化し, プレート電流は 75 mA から 9 mA まで変化しています.

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図 114: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(9.4k 上側)
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図 115: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(9.4k 下側)
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図 116: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(9.4k 上側)
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図 117: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(9.4k 下側)
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図 118: 差動出力段の総プレート電流と合成プレート電流(9.4k)
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図 119: 差動出力段のロードラインと伝達特性(9.4k 上側)
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図 120: 差動出力段のロードラインと伝達特性(9.4k 下側)
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図 121: 差動出力段のクリップ時の波形(9.4k 下側)
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5.4.0.4 Zpp = 10.7 kΩ の場合

122は,上側(V2)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. グリッド電圧は,最大 -1 V まで加えられています. 負側は -66 V まで振られています. 図123は,下側(V3)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. 図124は,上側(V2)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図125は,下側(V3)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図126は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V2). プレート電圧は 83 V から 415 V まで変化し, プレート電流は 72 mA から 10 mA まで変化しています. 図127は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V3). プレート電圧は 80 V から 413 V まで変化し, プレート電流は 73 mA から 11 mA まで変化しています.

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図 122: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(10.7k 上側)
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図 123: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(10.7k 下側)
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図 124: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(10.7k 上側)
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図 125: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(10.7k 下側)
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図 126: 差動出力段のロードラインと伝達特性(10.7k 上側)
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図 127: 差動出力段のロードラインと伝達特性(10.7k 下側)
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図 128: 差動出力段のクリップ時の波形(10.7k 下側)
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5.4.0.5 Zpp = 9.4 kΩ でNFBを掛けた場合

129は,上側(V2)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. グリッド電圧は,最大 -1 V まで加えられています. 負側は負帰還によって歪みが無くなるように -68 V まで振られています. 図130は,下側(V3)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. 図131は,上側(V2)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図132は,下側(V3)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図133は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V2). プレート電圧は 85 V から 400 V まで変化し, プレート電流は 78 mA から 8 mA まで変化しています. 図134は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V3). プレート電圧は 85 V から 400 V まで変化し, プレート電流は 76 mA から 6 mA まで変化しています. 図135は,入力を大きくして,クリップが発生した時の下側の球の波形です.

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図 129: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(9k4 NFB 上側)
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図 130: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(9k4 NFB 下側)
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図 131: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(9k4 NFB 上側)
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図 132: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(9k4 NFB 下側)
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図 133: 差動出力段のロードラインと伝達特性(9k4 NFB 上側)
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図 134: 差動出力段のロードラインと伝達特性(9k4 NFB 下側)
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図 135: 差動出力段のクリップ時の波形(9k4 NFB 下側)
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入出力特性を図136に,出力対歪率特性を図137に示します. 歪率のグラフには,クリップが起こる場合の特徴である, 急激に歪率が増加するポイントが見られます( Zpp = 9.4 kΩ と Zpp = 10.7 kΩ の場合). シミュレーションと比較して,全体的に歪率が高くなっていますが, 完全なペアチューブでないため2次歪みが発生しているものと思われます.

図 136: 差動出力段入出力特性
\includegraphics{figs/6CK4diffio.ps}
図 137: 差動出力段出力対歪率特性
\includegraphics{figs/6CK4diffdist.ps}

Zpp = 5 kΩ の時の A級プッシュプルと差動出力段の 出力対歪率特性の比較を図138に, Zpp = 6.4 kΩ の時の A級プッシュプルと差動出力段の 出力対歪率特性の比較を図139に, Zpp = 9.4 kΩ の時の A級プッシュプルと差動出力段の 出力対歪率特性の比較を図140に示します.

図 138: 出力対歪率特性の比較(Zpp=5k)
\includegraphics{figs/6CK4dist5k.ps}
図 139: 出力対歪率特性の比較(Zpp=6.4k)
\includegraphics{figs/6CK4dist6k4.ps}
図 140: 出力対歪率特性の比較(Zpp=9.4k)
\includegraphics{figs/6CK4dist9k4.ps}

もっとも特性が悪いと思われる Zpp = 10.7 kΩ 時の周波数特性を 図141に示します. 高域のカットオフ点は,約 34 kHz でした. 低域は,10 Hz で -0.7 dB と十分に伸びています.

図 141: 差動出力段周波数特性(Zpp=10.7k)
\includegraphics{figs/6CK4diff10k7freq.ps}

5.4.0.6 Zpp = 6.4 kΩ で Ep = 230 V とした場合

Zpp = 6.4 kΩ を負荷とする場合,カットオフが先に生じてしまい, フルスイングすることができません. このような場合,プレート電圧を少し下げ,プレート電流を増やした動作点を選べば, 同じプレート損失でより大きな出力を望めます.

ここでは, Ep = 230 V, Ip0 = 45 mA の動作点を選んでみました. 図16からは, Zpp = 6.4kΩ の場合, Ep = 220 V 程度でよいはずですが, 実際の球では Eg = 0 V の曲線がやや寝ているようなので, それに合わせてプレート電圧をやや高めに設定しました. ロードラインは図142のようになります.

図 142: プレート電圧を230Vにした場合の6CK4差動出力段のロードライン
\includegraphics{figs/6CK4diffll3.ps}

出力と歪率は以下の通りです(この歪率はWaveSpectraではなく, MAK-6581で測定しました).

負荷インピーダンス 歪率 出力電圧(rms) 出力電力
6.4 kΩ 5.4% 201.4V 6.38W
このように,より大きな出力が得られることがわかります. この出力は,同程度の負荷のシングルの2倍に相当しています.

143は,上側(V2)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. グリッド電圧を,最大 -0.7 V まで加えられるようになりました. 電源電圧が高いときは,-5 V までしか加えられませんでした. 一方,負側は -61 V まで振られています. カソード電圧の上昇は,約 10 V と 9 V です. 図144は,下側(V3)の6CK4のグリッド電圧とカソード電圧です. 図145は,上側(V2)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. プレート電流の最小値は約 5 mA で,ほぼカットオフの状態です. 設計通り,クリップとカットオフが同時に起こる動作点になっていることがわかります. 図146は,下側(V3)の6CK4のプレート電圧とプレート電流です. 図147は,2管の総プレート電流と合成プレート電流( Ip1 - Ip2)です. 図148は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V2). 図149は,左側がロードラインで右側が伝達特性です(V3).

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図 143: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(6.4k 230V 上側)
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図 144: 差動出力段のグリッド電圧とカソード電圧(6.4k 230V 下側)
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図 145: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(6.4k 230V 上側)
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図 146: 差動出力段のプレート電圧とプレート電流(6.4k 230V 下側)
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図 147: 差動出力段の総プレート電流と合成プレート電流(6.4k 230V)
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図 148: 差動出力段のロードラインと伝達特性(6.4k 230V 上側)
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図 149: 差動出力段のロードラインと伝達特性(6.4k 230V 下側)
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入出力特性を図150に, 出力対歪率特性を図151に示します.

図 150: 差動出力段入出力特性( Ep = 230 V)
\includegraphics{figs/6CK4diff230io.ps}
図 151: 差動出力段出力対歪率特性( Ep = 230 V)
\includegraphics{figs/6CK4diff230dist.ps}

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Ayumi Nakabayashi
平成19年7月7日