ハイゲインPK分割位相反転回路

Ayumi's Lab.

2006年1月9日
Revised 2015年10月25日

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一般に,PK分割位相反転回路のゲインは1以下で, 高感度の出力管を用いないと全体のゲインが不足する傾向があります. この欠点を少しでも補おうと,ハイゲインPK分割位相反転回路(図1)や, ポジネガフィードバック回路などが考案されています. 初段と直結したPK分割位相反転回路では, 両相のバランスはもっぱら抵抗の精度により決まるので, ACバランスを取る必要は特にありませんが, ハイゲインPK分割位相反転回路では, 一般に言われている方法で定数を定めるとACバランスが崩れます. ここでは正確なACバランスを取るための定数の決め方と, ゲインの計算方法を詳しく見ていくことにします.

図 1: ハイゲインPK分割位相反転回路
\begin{figure}\input{higpk_sch}
\end{figure}

ハイゲインPK分割位相反転回路では, ブートストラップ用コンデンサ Cb があることにより, 低域に時定数を持ちます. この時定数は,

T $\displaystyle \approx$ CbRd (1)
で,一般に Rd kΩ 単位ですので, Cb 22 μF 程度を用いれば, カットオフ周波数を数 Hz 以下にでき, この時定数を無視することができます.



ayumi
2015-10-25